「深い霧の中を灯りもつけずに
ふら、ふらり、ひとりさまよい
無邪気な子どもがそう望んだから
気まぐれで手折られた花ひとつ
『ここは遺失物係です』
『何を失くされましたか』
『場所はどこら辺か、心当たりは』
すっからかんの頭とすっからかんのカバンの
底は抜けていた
どこをどう歩いてきたっけ?
何を失くしたのかさえもわからなくて
けれど大事にしてたことは憶えていて
いつか誰かが拾ってくれるでしょうか
探し続けていたら
がらんどうに向き合えたら
いつか生きててよかったと思えるでしょうか
天から賜るこの不幸せに
前触れも、筋合いもない
ふわり舞った蝶がふと疎ましくて
徒に毟られた翅ひとつ
ただ生きていたって意味がさして無いように思えて
諦めることばかり考えます
なんとなくまた目覚めてなんとなく寝落ちている
ひとつも戻らなかったカバンの中
明日も明後日もそうでしょう
大事なものが幾つもあって
ひとつさえ失くしたくなくて
ちゃんと抱えて歩いてきたのに
気づいたら空っぽだ
生きることってなんですか?
何を失くしたのかさえもわからなくて
けれど大事にしてたことは憶えていて
いつか誰かが拾ってくれるでしょうか
探し続けていたら
がらんどうに向き合えたら
いつか生きててよかったと思えるでしょうか
ただ生きていたっていいやと笑えるでしょうか」
誰かを踏み潰す雨が止みますように。
差しのべられた手をちゃんと取れますように。
失くしものをあなたと見つけられますように。
いつか、いつか、いつか、いつか、
いつか。
SEEEK 歌詞考察
なくしもの【キタニタツヤ】歌詞の意味を考察!「遺失物係」に託された喪失と再生の物語
深い霧の中をさまよう人間の独白から、この曲は静かに始まる。
キタニタツヤが映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』(2025年6月27日公開/監督:三池崇史)のために書き下ろした主題歌「なくしもの」は、何かを失った人間が遺失物係の窓口で自分の喪失と向き合う、という詩的な枠組みを持つ楽曲だ。配信リリースは映画公開と同日の2025年6月27日。主演の綾野剛がこの楽曲を「”最後の最大の共演者”」と...
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